診療支援
治療

結核菌感染症
Mycobacterium tuberculosis infection
吉野友祐
(帝京大学・内科学)
太田康男
(帝京大学教授・内科学)

A.疾患・病態の概要

●結核菌感染症とはMycobacterium tuberculosisによる一連の感染症を指す.M.tuberculosisはヒトの肺胞内へ取り込まれ,増殖し,マクロファージに貪食される.次いで,マクロファージ内でさらに増殖し,所属リンパ節へと移行,血中へと移行し,全身,肺や骨髄,髄膜などへ伝播する.免疫の成立により結核菌は抑制されるが,潜在的には生存し続け,なんらかの契機により再活性化し感染症を発症する.一般に感染例の約10%が生涯のうちに臨床的に明らかな結核を発症し,そのうちの約50%が感染後1年以内に発症するといわれている.実際の臨床で遭遇する結核の多くは,潜在していた結核の表面化,再発である.

●発症した場合,75%程度は肺結核として発症する.症状は胸痛,喀血,喀痰の出現,遷延する咳嗽などの呼吸器症状や,発熱,悪寒,夜間盗汗,食欲低下,体重減少といった全身症状まで

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