診療支援
治療

呼吸器疾患
pulmonary diseases
萩原弘一
(埼玉医科大学教授・呼吸器内科)

A.疾患・病態の概要

●慢性呼吸器疾患の急性増悪で重要なものは,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の急性増悪と,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の急性増悪である.両者はともに急性増悪と命名されているが,病態,疾患概念ともに全く異なる.

●COPDは,主に喫煙を原因とし,気管支拡張薬で完全には回復しない非可逆性気流制限を主徴とする慢性疾患である.COPD患者において,感染,心不全などを契機として急速に呼吸状態が悪化する状態を急性増悪という.特に感染は原因として重要で,COPD急性増悪をみたら,肺炎を主体とした感染の合併を考慮する必要がある.慢性Ⅱ型呼吸不全患者の場合,CO2ナルコーシスによる意識障害がみられることも多い.

●IPFは,数年~十数年の経過をたどる原因不明の慢性疾患

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