A.病態の概要
●膠原病の代表的な特徴は出産年齢の女性に多く発症することで,女性ホルモンと膠原病との関連が示唆されている多彩な臓器障害の症状がみられ,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),関節リウマチ(RA),結節性多発動脈炎などの多様な疾患がある.
●膠原病はかつては原因不明の「不治の病」であったが,免疫学や分子生物学の進歩により,リンパ球や抗体が自己の組織を攻撃して結合組織に慢性炎症を生じる自己免疫疾患群とわかり,アポトーシス,自己抗体,サイトカイン・接着分子との関連から,抗TNFα抗体,抗IL-6抗体,抗IL-6レセプクー抗体,抗ICAM-1抗体などの生物製剤が膠原病の新たな治療戦略となっている.
B.最初の処置
①各疾患が急に増悪した場合に,急性期症状の改善と不可逆性病変を作らずに寛解させるのを目的に,関節炎や発熱にNSAIDsを中心に初療が行われる.すでに診断がついている患者では,主治医との相談下に抗菌薬やステロイドの投薬を開始し,安易な増量はしない.
②増悪時の急性間質性肺炎や中枢神経病変(CNSループス)を併発したSLEでは,ステロイドパルス療法を含む強力な抗免疫療法が行われ1),心炎合併例の活動期にもプレドニゾロン薬60mgが投与される.
C.診断の進め方
1確定診断に近づくための観察・検査
①まずこの症候群を疑うことが診断に重要である.膠原病の初発症状には皮膚関節症状がもっとも多く,頻度が高く特異性も高い特徴的な皮疹,日光過敏,口腔・鼻咽頭内潰瘍,関節炎,胸膜炎,腎炎,神経障害,血液異常(貧血,白血球減少,血小板減少),抗核抗体,LE細胞,抗DNA抗体などが診断に重要で,多臓器にわたる病変の確認が診断の手がかりとなる.それらの特長をみたら,専門医へコンサルトして,診断を含む治療計画をたてるが,救急室には急な増悪や合併症
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