診療支援
診断

眼瞼下垂
blepharoptosis
山下 一也
(島根県立大学 学長)
小林 祥泰
(小林病院 理事長)

眼瞼下垂とは

定義

 眼瞼下垂とは,上眼瞼挙筋や上瞼板筋の筋力低下に伴う上眼瞼の挙上不全をいう.眼瞼の挙上運動や位置を制御する,大脳皮質から筋までの運動系のいずれのレベルの障害によっても起こる.

患者の訴え方

 「まぶたが下がる」「まぶたが重い」「まばたきがしにくい」などの訴えが多い.重症筋無力症では,症状に日内変動があり,午後から夕方になると症状が増悪する.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

(図1)

 健常者では,通常,上眼瞼は角膜の上方を約1.5mm覆っているが,眼瞼下垂があるとそれ以上角膜を覆い,瞳孔まで覆うと視界に影響を及ぼす.ただ,高齢者ではそれ以上の眼瞼の下垂がみられることがある(加齢性眼瞼下垂).

 眼瞼下垂には,図1に示すように種々の原因があるが,眼瞼下垂は眼瞼を挙上する筋である上眼瞼挙筋や上瞼板筋の障害によるものである.上眼瞼挙筋は横紋筋で動眼神経の支配下にあり,上瞼板筋は平滑筋で交

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