診療支援
診断

食欲不振
anorexia
浅香 正博
(北海道医療大学 学長)

食欲不振とは

定義

 食欲(appetite)とは,食物を摂取したいという生理的欲求のことである.食欲不振とは,食欲が低下あるいは消失した状態を指す.

 類似した症候である早期満腹感(ほんの少量の食物を摂取しただけで満腹感を生じる状態)と恐食症(食欲はあるものの,食物摂取に伴う苦痛を恐れて食物を摂取しない状態)を鑑別しなければならない.早期満腹感は胃容量の減少によって生じ,亜全摘術後の胃や進行胃癌で認められ,恐食症は食道潰瘍や消化管の虚血などで認められる.

患者の訴え方

 「食が細くなった」「食べられない」とか,「やせた」「体重が減った」など,訴え方は多彩である.

 「お腹がすぐに満腹になる」と訴える場合は早期満腹感を意味し,「食べたいのに食べられない」と訴える場合は恐食症を意味している.

 また,こちらから問いかけなければ訴えない場合も多いので注意を要する.

患者が食欲不振を訴える頻度

 食欲不振は,実地

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