胸水とは
定義
胸水は胸膜腔(pleural space)内における体液の貯留である.胸膜の毛細血管より産生された胸水は,壁側胸膜と臓側胸膜でその一部が再吸収される.残りは胸膜中皮細胞層を通過して胸腔へ流れ,壁側胸膜のリンパ管を通じて吸収される.
症候から原因疾患へ
病態の考え方
胸水産生の亢進か吸収の低下が胸水貯留の原因となるが,その機序は,①毛細管透過性の亢進,②静水圧の上昇,③膠質浸透圧の低下による.毛細血管透過性は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)やトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)などのサイトカインにより制御されているが,炎症性サイトカイン(IL-8など)とVEGF,TGF-βの胸腔内の上昇は相関する.吸収の低下は,たとえば癌の縦隔リンパ節転移によるリンパ管の閉塞など,物理的原因の関与もある.
病態・原因疾患の割合
(図1)図
片側性か両側性かでの鑑別
胸膜疾患の鑑別は片側性か両側性