腹水とは
定義
腹腔内には30〜40mLの体液が生理的に存在する.しかし,種々の原因によりこれ以上の液体が貯留した場合を腹水という.
腹水は液体の性状の違いから,淡黄色透明で非炎症性の漏出液(transudate)と,外観上混濁し血性ないし乳び状の滲出液(exudate)に大別される.
両者の比較を表1図に示す.
漏出性腹水は,腹膜そのものには病変主座がなく,肝硬変などでみられる門脈圧亢進,低アルブミン血症による浸透圧差,腎における水とNaの貯留,利尿ホルモンの異常が原因となる.
一方,滲出性腹水は腹膜に炎症や腫瘍が存在することにより腹膜血管透過性が亢進し,血液成分が滲出して生成される.
これらとは別にゲル状の腹水がある.
患者の訴え方
腹部膨満感のほか,「ズボンやベルトがきつくなった」と訴えるのが圧倒的に多い.手足の浮腫や体重の増加を主訴として受診した際に見つかる場合もある.