診療支援
診断

運動麻痺
motor paralysis
須山 信夫
(日原診療所内科)
小林 祥泰
(小林病院 理事長)

運動麻痺とは

定義

 運動麻痺とは,運動中枢から末梢神経,筋線維までのどこかに障害があって,随意的に運動ができない状態である.筋脱力については後項に譲り,本項では神経原性の運動麻痺を中心に述べていく.

患者の訴え方

 患者が「手足がしびれている」と訴える場合には,感覚障害だけでなく運動麻痺の場合があるので,正確に医療面接を行う.

 運動麻痺がある場合,患者が「箸を持ちにくい」「スリッパがよく脱げる」と訴える場合は遠位筋の脱力を,「ふとんの上げ下ろしが難しい」「しゃがみ立ちが困難」と訴える場合は近位筋の脱力を考える.

患者が運動麻痺を訴える頻度

 一般外来と専門外来(脳神経内科や整形外科)では運動麻痺を訴える患者のみられる頻度は著しく異なる.一般外来では1%以下の頻度であろう.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

 運動の命令は,大脳皮質運動野,内包,脳幹,脊髄,末梢神経,神経筋接合部,筋肉へと神経刺激が伝達さ

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