筋脱力とは
定義
筋脱力(筋力低下)は,随意運動の経路,すなわち上位運動ニューロン・下位運動ニューロンおよび筋の障害で生じる随意運動遂行能力の低下,消失をきたした状態をいう.
脱力とは,麻痺を自覚することで,運動麻痺と本質的には同義である.
患者の訴え方
筋脱力の主訴といっても多彩であり,たとえば,患者は「しゃがんだ姿勢から立ち上がりにくい」「階段を昇りにくい」「布団を持ち上げたり,洗濯物を物干しにかけるのがつらい」「手に持った物が普段より重く感じる」などと訴える.
医療面接では日常生活動作のなかから推定する.たとえば,うずくまった状態から立ち上がりが困難な状態では下肢近位筋の筋脱力を,布団を持ち上げたり,物を持ち上げたりするのが困難な場合には上肢近位筋の筋脱力を,箸やドアノブを持ちにくくなった場合には遠位筋の筋脱力を考える.
症候から原因疾患へ
病態の考え方
(図1)図
脳血管障害による片麻痺や脊