診療支援
治療

37エチレングリコール
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・エチレングリコールは,保冷剤(ゲル化エチレングリコール:アイスノンソフト®など),不凍液,溶剤,潤滑油などに含有されている.


診断のポイント

・エチレングリコールへの曝露歴または曝露が生じる状況がある患者に,アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシス,低カルシウム血症,シュウ酸カルシウム結晶尿を認める.

・血清エチレングリコール濃度の高値または浸透圧ギャップの開大を認める.ただし,エチレングリコールがほとんど代謝された後では,血清濃度が測定限界以下,または,浸透圧ギャップが正常値であることがある.

・浸透圧ギャップから血清エチレングリコール濃度を推定することができる(A 原因薬毒物の推定:2)osmolal gap(浸透圧ギャップ):検査所見による推定:GAME(ゲーム)参照).

 血清エチレングリコール濃度=浸透圧ギャップ×6(変換係数)


治療のポイント

・代謝性アシドーシスには炭酸水素ナトリウムで補正してグリコール酸の尿中排泄を促す.

・血清エチレングリコール濃度≧20mg/dL,または,浸透圧ギャップ≧5mOsm/kgであれば,エタノールを経口投与または静注して,血中濃度を100~150mg/dLに維持.

・血清エチレングリコール濃度≧50mg/dL,または,浸透圧ギャップ≧10mOsm/kg,著しい代謝性アシドーシス,昏睡または肺水腫などの重篤な症状,腎不全があれば血液透析法を施行.

・ピリドキシンおよびチアミン100mg/日を静注.


Do&Don't

・活性炭に吸着されないので,活性炭を投与しない.


体重50kgの実践投与量

エタノールの投与:血中エタノール濃度100~150mg/dLに維持する.経口投与では,50%液で75mLを初期投与し,10~20mL/時で維持.ただし,血液透析中は20~35mL/時に増量.静注では,5または10%液で37.5gを初期投

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