診療支援
治療

【3】動悸,脈拍異常
palpitation,abnormal pulse
横江 正道
(名古屋第二赤十字病院・第二総合内科部長)

症候を診るポイント

●致死的不整脈を見逃さないことが何よりも重要である.

●動悸は自覚症状であり,意識障害,息切れ,胸痛・背部痛,大量発汗などが併存する場合には緊急性が高いと考えて対応する.

▼定義

 動悸とは,自分の脈拍を自分で感じることであり,緊張するときなどに誰でも自覚したことがある生理現象の1つである.患者の訴えとしては,「ドキドキする」「胸が詰まる」など,頻脈の際に感じることが多いと思われる.頻脈であっても,緊張や興奮などの際に自覚するような病気ではない場合もある.

 脈拍異常は,頻脈,徐脈を自覚または他覚することであり,脈のリズムが整の場合もあれば不整の場合もある.不整脈を感じるときには「脈が飛ぶ」「脈が乱れる」などと表現されることがある.

 成人では100回/分以上が頻脈または頻拍と定義されるが,徐脈や徐拍に関しては50回/分以下,60回/分以下とする意見がある.

▼病態生理

 頻脈・徐脈に

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