診療支援
治療

【3】動悸,脈拍異常
palpitation,abnormal pulse
横江 正道
(名古屋第二赤十字病院・第二総合内科部長)

症候を診るポイント

●致死的不整脈を見逃さないことが何よりも重要である.

●動悸は自覚症状であり,意識障害,息切れ,胸痛・背部痛,大量発汗などが併存する場合には緊急性が高いと考えて対応する.

▼定義

 動悸とは,自分の脈拍を自分で感じることであり,緊張するときなどに誰でも自覚したことがある生理現象の1つである.患者の訴えとしては,「ドキドキする」「胸が詰まる」など,頻脈の際に感じることが多いと思われる.頻脈であっても,緊張や興奮などの際に自覚するような病気ではない場合もある.

 脈拍異常は,頻脈,徐脈を自覚または他覚することであり,脈のリズムが整の場合もあれば不整の場合もある.不整脈を感じるときには「脈が飛ぶ」「脈が乱れる」などと表現されることがある.

 成人では100回/分以上が頻脈または頻拍と定義されるが,徐脈や徐拍に関しては50回/分以下,60回/分以下とする意見がある.

▼病態生理

 頻脈・徐脈に関しては,心臓由来なのか,それ以外の要因で起こっている場合が考えられる.

 心臓由来の場合には,洞調律に異常をきたす場合(洞機能不全,リエントリ,房室ブロック,心房細動など),急性冠症候群,心不全などが考えられる.心臓以外の場合には,大動脈疾患や肺疾患,甲状腺疾患,副腎疾患なども考える.

 徐脈では,房室ブロック,β遮断薬やCa拮抗薬,アミオダロンなどの薬剤性,頭蓋内圧亢進状態を反映している場合がある.徐脈の病態生理として,洞房結節や房室結節,刺激伝導系などにおける線維化や心筋虚血が原因となっていることが考えられる.

▼初期対応

 脈の異常を訴える患者が来たら,最初に,橈骨動脈に触れて脈の異常を確認し,血圧のチェックをする同時に呼吸の状態を確認する.心電図モニターで脈拍リズムの把握をリアルタイムに行うが,診断のためには12誘導心電図をチェックしなくてはならない

 動悸を自覚症状として訴えることが

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