症候を診るポイント
●胸水ではLightの基準を用いて滲出性,漏出性の判断を行う.
●滲出性胸水の最も多い原因は悪性胸水,肺炎随伴性胸水/膿胸,結核性胸膜炎である.
●利尿薬の使用症例では胸水鑑別の補助診断を使用する.
▼定義
胸腔内に胸水が増加した状態で,その多くは感染症,悪性腫瘍,膠原病,心不全,腎不全に由来する〔第2章の→も参照〕.
▼病態・分類
胸水貯留の正確な機序はいまだ不明な部分があるが,炎症性サイトカインの関与や血管透過性亢進の関与が考えられている.Light(ライト)の基準(表1-31図)により滲出性胸水,漏出性胸水に分類できる.Lightの基準は,3つのうち1つでも陽性であれば滲出性胸水となるが,利尿薬の使用は胸水の濃縮を起こし偽陽性の原因となるため,補助診断を併用する.
▼鑑別診断
図1-12図に診断プロセスを示す.
胸水貯留が両側性であれば,低アルブミン血症,心不全,腎不全など