症候を診るポイント
●急速相と緩徐相があり,急速相の方向を眼振の方向と定義する.
●眼振をみたら原因が末梢性か中枢性かを見分ける.
●一方向への水平・回旋混合性眼振は反対側の主に末梢前庭神経障害.
●注視方向性眼振と垂直性眼振は中枢性(小脳・脳幹部)障害であり,頭部MRI検査を実施.
▼定義
眼球の律動的な振動であり不随意な運動.通常は急速相と緩徐相があり,急速相の方向を眼振の方向と定義する.例えば電車から外の景色を眺める人の眼を見ると,電車の進行方向に急速相をもつ生理的な眼振(視運動性眼振)がみられる.病的な眼振はその方向や出かたによって神経系の責任病巣や原因疾患を絞り込むことができる.急速相と緩徐相の区別がつかない振り子様眼振は視力障害や先天性眼振でみられ自覚症状はない.
▼病態生理
眼振が生じるメカニズムは,眼球の一方向への偏倚(緩徐相)が原因でそれを修正しようとして反対側への速い動き(急速相)