▼定義
全身性の壊死性血管炎,上気道と肺の壊死性肉芽腫,半月体形成性糸球体腎炎を呈し,高率にANCAが検出される血管炎症候群である.
▼病態
細菌由来のスーパー抗原との関連が推定されており,ANCAによって活性化された好中球から産生される活性酸素や蛋白分解酵素などによって血管炎や肉芽腫病変を起こすと考えられている.
▼分類
肺以外の臓器病変の詳細については別項〔第12章の→,第13章の→〕を参照されたいが,一般的には,①全身型(上気道・肺・腎),②腎病変を伴わない限局型(上気道病変のみ,肺病変のみ,あるいは上気道病変+肺病変),③腎限局型に分類されている.肺病変には,気道病変,肺実質病変,肺胞出血などがある.気道病変では気管支壁の肥厚,拡張,狭窄などがみられ,肺実質病変では結節や空洞形成を呈する.肺胞出血では毛細血管炎がみられる.
▼疫学
わが国における患者数は2,430人(2014年)である.男女比はほぼ1:1で,30~60歳代に好発する.
▼診断
わが国では診断基準に基づいて診断されることが多い〔第13章「多発血管炎性肉芽腫症」の項の表13-18図を参照〕.
➊自他覚症状
全身症状としては発熱,体重減少などがみられ,上気道症状では鼻閉,鼻出血,鞍鼻などを,肺症状では咳,血痰,呼吸困難などを認める.また,眼症状(眼痛,強膜充血,眼球突出など)や,皮膚症状(紫斑など),神経症状(多発単神経炎)などがみられることがある.
➋血液検査
赤沈上昇,CRP高値などの炎症所見に加えて,PR3-ANCAが75~90%に,MPO-ANCAが5~20%に陽性となる.半月体形成性糸球体腎炎を合併した症例では,尿潜血,尿蛋白とともに腎機能障害がみられる.
➌画像所見
典型的な陰影は,多発する空洞形成を伴う結節影である.気管支壁肥厚や拡張,すりガラス影~濃厚影などもみられる(図2-41図).
➍気管支鏡検査
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