診療支援
治療

(1)胸水の診断と鑑別
瀬山 邦明
(順天堂大学大学院先任准教授・呼吸器内科学)

▼存在診断

 胸部X線では,胸水は透過性の低下した領域として描出される.胸水は流動性があるため重力の影響を受けて胸腔内で低い部位に移動する.立位胸部単純写真では肋骨横隔膜角の鈍化(正面像),貯留量が多ければ液面が胸壁にそって曲線状に立ち上がる像(メニスカスサイン,meniscus sign),肋骨脊柱角の鈍化(側面像),側臥位像(lateral decubitus view)による胸水貯留像の移動などが診断に有用である(図2-77).胸膜腔での炎症が長く続くとフィブリン形成により部分的な胸膜の癒着が生じて胸水は被包化され,流動性が失われる(図2-77).少量の胸水を診断するには,超音波検査が有用である.一定量の貯留がないと理学所見を得ることは難しいが,打診では胸水貯留部位は濁音,その上部は鼓音となる.聴診では,胸水貯留部では呼吸音が減弱し,声音振盪も減弱する.

▼漏出性胸水と滲出性胸水の鑑

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