疾患を疑うポイント
●冠危険因子を複数有することが多い.
●陳旧性であるので無症状であることが多いが高齢者に多く慢性心不全の一因となる.
●心筋梗塞後の左室リモデリングによる慢性心不全症状や不整脈の症状を呈する.
●梗塞巣周囲に生存心筋の残存がある場合や冠動脈残存狭窄がある場合,狭心症や無症候性心筋虚血を生じる.
学びのポイント
●心筋梗塞による死亡は発症時に最も高く,時間の経過とともに死亡する危険性は減少するが,陳旧性心筋梗塞患者は心臓突然死を含む心事故発生高リスク群であり,その心事故予防は重要である.
●超高齢社会において心不全パンデミックが危惧されているが,心血管病の連鎖のなかにおいて陳旧性心筋梗塞は心不全の主要な一因であるため,その診断はきわめて重要である.
●一方,心筋梗塞発症から長時間経過すると症状が軽微であることが多く,診断が軽視,見逃されることもあり,後述の診断法を組み合わせ確実な診断を行