診療支援
治療

3 心房粗動
atrial flutter
池田 隆徳
(東邦大学大学院教授・循環器内科学)

▼定義

 正常P波が消失し単形性の連続した迅速な心房波(粗動波)を認める不整脈である.心拍数は粗動波と心室波の伝導比によって決定される.

▼病態

 原因は心房細動とほぼ同じと考えてよい.メカニズムはリエントリーである.

▼疫学

 詳しい疫学は不明であるが,心房細動よりは罹患率は低い.ただし,心房粗動と細動を行き来するタイプがあるため,これを含めると比較的頻度の高い不整脈である.

▼分類

‍ 通常型(リエントリーが三尖弁周囲を反時計方向に回転)と非通常型に分けられる.

▼症状

 心房波と心室波の伝導比が2:1以上となると動悸を自覚する.伝導比が1:1の場合は心拍数が300拍/分前後となるため,失神発作を呈することもある.逆に,伝導比が3:1以下の場合であれば無症状のことが多い.

▼診断

 診断は心電図検査でなされる.

心電図所見

 通常型では,下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF)において鋸歯状波(ノコギリ波)と称される大きな

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