診療支援
治療

1 急性心膜炎
acute pericarditis
倉林 正彦
(群馬大学大学院教授・循環器内科学)

疾患を疑うポイント

●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.

●先行して感冒症状があり,安静時の前胸部痛,特に仰臥位で増強,前傾姿勢で軽減するのが特徴的である.

学びのポイント

●心膜の急性炎症によって起こる疾患であり,ウイルス性であると推定されるが,原因ウイルスを特定できないことが多い.

●上気道感染が先行することが多い.

●心電図では冠動脈の灌流域では説明しにくい広範なST上昇を伴うことが多い.心筋逸脱酵素の上昇を認める場合,心筋炎を合併している可能性がある.

●アスピリンやNSAIDsに反応する例が多いが,コルヒチンも初期治療に用いることが推奨されている.再発例では原因の特定が必要である.

▼定義

 欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインでは次の4項目のうち2項目以上を満たす場合,急性心膜炎と定義する.

●心膜炎性の胸痛(典型的には鋭い痛みで前傾姿勢で改善)

●心膜摩擦音〔表面を擦過する音,軋む音

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