診療支援
治療

消化管疾患を理解するためのポイント
松本 主之
(岩手医科大学教授・消化器内科消化管分野)

ざっくりわかる消化管疾患

 消化管は口腔から肛門に至る長い管腔臓器であり,部位ごとに多様な疾病が発生します.一方で,各疾患に特徴的な症候は少なく,腹痛,出血,下痢,便秘,体重減少などの症状が重複するのが一般的です.さらに胃癌,大腸癌などの大部分は無症状のままスクリーニング検査で発見されるのが現状です.したがって,消化管疾患の診断においては,症候学のみならず検査所見を十分に理解することが重要といえます.

 消化管疾患を理解するためには,この領域の疾病を腫瘍性疾患,炎症性疾患,機能性疾患に大別することが重要です(図4-1).さらに,腫瘍性疾患と炎症性疾患,および炎症性疾患と機能性疾患は,遺伝子異常や環境要因といった点から重複することを知っておくと,さらに理解度が向上します.本章では,食物の通過と同様に,口腔から肛門の順序で構成されています.ここでは,主に消化管の炎症性疾患を中心に,病態からみた分

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