診療支援
治療

(4)門脈血栓症
portal vein thrombosis
髙村 昌昭
(新潟大学大学院准教授・消化器内科学)
寺井 崇二
(新潟大学大学院教授・消化器内科学)

疾患を疑うポイント

●肝硬変で頻度が高く,肝硬変の経過観察中に食道胃静脈瘤や腹水の急激な増悪などがみられた場合に画像検索を行い門脈血栓の有無を確認.

学びのポイント

●門脈血栓症の原因として肝硬変が最も多い.

●無症状で画像検査により偶然発見されるものから,腹痛などの症状をきたし緊急治療を要するものまで多彩である.

●門脈血栓を認めたら,血栓の出現範囲や腸管虚血の有無などの評価のために造影CT検査を行う.

●アンチトロンビンⅢ低下を伴う症例では乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢの投与を行う.

 本疾患は,腫瘍,感染症,外傷といった肝疾患以外の原因でも起こりうるが,肝疾患が原因で発症するものを概説する.

▼定義

 さまざまな原因により門脈内に血栓を形成する疾患である.

▼病態

 血液の凝固・抗凝固のバランス消失,門脈圧亢進,門脈の血流異常,門脈の血管内皮の変化や周囲からの炎症波及など原因疾患によりその主因は異なる.

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