疾患を疑うポイント
●初期には自覚症状に乏しいが,食後血糖やHbA1c値の高値から疾患の存在を疑う.
●数か月間の急激な体重減少,口渇・多飲・多尿などの糖代謝失調の典型的症状を見逃さない.
●家族歴や肥満歴,自己抗体の有無などが糖尿病の分類を考えるうえで重要.
学びのポイント
●2型糖尿病は,個々の患者において,膵β細胞の機能や量の低下によるインスリン分泌不全と,肥満などによるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなっている状態)の両方が病態として種々の程度で混在している.
●個々の患者におけるCペプチド値などのインスリン分泌能の検討と,肥満度や骨格筋量などインスリン抵抗性に関与する因子の評価を行うことが重要.そのうえで,患者の生活環境や嗜好も考慮したうえで食事や運動,薬物療法などの選択を行う.
●薬物療法の選択においては,腎症などの合併症の進行度やADLないしは認知機能なども考慮する必要がある.