▼定義
糖尿病性神経障害とは,糖尿病に特有の代謝障害と細小血管障害が関与して生じる末梢神経障害である.
▼病態
組織学的所見として,ニューロンの障害を反映した「軸索変性」とSchwann(シュワン)細胞の障害を反映した「脱髄」の両者が混在することから,その病態は多因子が複雑に絡み合って構成されている.
発症機序としては,高血糖に起因したポリオール代謝の亢進,プロテインキナーゼC活性の異常,非酵素的糖化反応の亢進,酸化ストレスの亢進といった代謝異常が想定されており,その結果として神経系細胞(ニューロン,Schwann細胞)の機能異常が引き起こされる.また,同様の代謝異常が神経栄養血管の細胞(血管内皮細胞,平滑筋細胞)においても生じており,神経系細胞と血管系細胞のおのおのの障害が交錯しつつ神経組織の変性が進み,糖尿病性神経障害の病態が形成される.
臨床症状は,緩徐に進行する小径~大径神経線維の混
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