疾患を疑うポイント
●低カリウム(K)血症を合併する高血圧,若年者の高血圧,Ⅱ度以上の高血圧,治療抵抗性高血圧,副腎偶発腫瘍を伴う高血圧,若年の脳血管障害が合併した高血圧,睡眠時無呼吸を伴う高血圧などに多くみられる.
●低K血症がある例では,多尿,夜間尿,不整脈,筋力低下などを認めることがあるが,血清K正常例では,自覚症状はない.
学びのポイント
●高血圧の約5~15%を占める代表的な二次性高血圧.
●食塩の過剰摂取によるアルドステロンの抑制がないため,食塩摂取量の増加に従って血圧が上昇し,減塩により血圧が低下する(食塩感受性高血圧).
●血圧を同程度にコントロールした本態性高血圧と比べて,脳血管障害,虚血性心疾患,不整脈,末梢動脈疾患などの罹患率が3~5倍高い.
●外科手術により治癒可能なサブタイプ(片側性病変)と薬物治療により著明に改善するサブタイプ(両側性病変や手術非適応例)があり,早期治療の意義が高い.
▼定義
副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌され,血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)低値および高血圧を呈する疾患であり,その原因としてはアルドステロン産生腺腫(通常,片側性)と両側副腎過形成(特発性アルドステロン症)がある.
▼病態
健常人では,食塩摂取が過剰だとレニン-アンジオテンシン系(RAS)が抑制されて血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration:PAC)も低下するが,PAの病態では,PACが十分に抑制されないために,食塩感受性高血圧となり,しばしば降圧薬が3種類以上必要になる治療抵抗性高血圧を呈する.高アルドステロン血症は,腎臓皮質集合管細胞のミネラルコルチコイド受容体(MR)に作用して,Na+再吸収およびK+,H+排泄が亢進して高血圧に加えて,典型例では低K血症や代謝性アルカローシスとなる.
関連リンク
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