診療支援
治療

【6】急性骨髄性白血病
acute myeloid leukemia(AML)
高見 昭良
(愛知医科大学教授・血液内科)

疾患を疑うポイント

●50歳以上の男性に多い.

●正常造血抑制による症候(血球減少,易感染性,易疲労感,出血傾向など),白血病細胞増加による症候(骨痛,臓器腫大,白血病裂孔など)がみられる.

学びのポイント

●形態診断を主とするFAB分類,染色体・遺伝子異常に基づくWHO分類・予後分類がある.

●治療方針は分化誘導療法が期待できる急性前骨髄球性白血病とそれ以外に分けて理解する.

●標準治療は多剤併用化学療法.

▼定義

 AMLは,骨髄球系前駆細胞に複数の遺伝子異常が生じ,クローン性増殖したものである(図8-61).遺伝子異常の蓄積によりサブクローンが生じ,再発・難治化に関与する.初発AMLと二次性AMLがある.

▼病態

 遺伝子異常の蓄積により,骨髄系前駆細胞から白血病幹細胞が生じ,自己増殖とサブクローンを作りながら,AMLが発症・進展すると考えられる(図8-61).最近の研究から,遺伝子異常の起点は造血幹細胞レベルと推測される〔本項のトピックス参照〕.

▼疫学

 わが国の急性骨髄性白血病罹患率は,年間10万人あたり約4人,男女比は2:1である.50歳頃から罹患率が高くなり,年齢とともに増加する.喫煙との因果関係は,厚労省基準レベル2である.

▼分類

FAB(French-American-British)分類‍ (表8-44)

 骨髄か末梢血中有核細胞の30%以上を芽球が占めると診断できる.骨髄・末梢血塗抹標本の鏡検と免疫表現型により分類する.

WHO分類(2017改訂第4版)(表8-45)

 骨髄か末梢血中有核細胞の20%以上を芽球が占めると診断できる.染色体・遺伝子異常,骨髄異形成症候群に特徴的な形態異常,治療(特に化学療法や放射線治療)との関連に基づき分類する.さらに,特殊型〔骨髄肉腫,Down(ダウン)症候群関連骨髄増殖症候群〕,急性好塩基球性白血病,骨髄線維化を伴う急性汎骨髄症以外は

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