診療支援
治療

6 尿道炎
urethritis
荒川 創一
(三田市民病院・院長)

▼定義

 男性尿道炎の多くは,自覚症状として排尿初期痛または瘙痒感を有し,他覚所見として外尿道口からの排膿(漿液性のこともある),初尿中≧5WBCs/400倍視野の白血球が証明される.

 性感染症として伝播するものが大多数を占める.

 尿路感染症としては,尿道留置カテーテル〔Foley(フォーリー)カテーテル〕に起因する尿道炎が,時にみられる.

▼原因微生物

 性感染症としての原因菌は,淋菌(Neisseria gonorrhoeae)クラミジア(Chlamydia trachomatis),マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)などが挙げられる.

 アデノウイルスや単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)による性感染症としての尿道炎もある.

 尿道カテーテル留置に伴う尿道炎の多くは,腸内細菌による.

腔咽頭感染からの伝播

 淋菌やクラミジアの咽頭保菌者との口腔性交により,淋菌性あるいはクラミジア性尿道炎がもたらされることがある.

▼診断

 性感染症での尿道分泌物では,その性状が膿性か漿液性かにより原因菌が推定される.すなわち前者では淋菌性,後者ではクラミジア性またはマイコプラズマ・ジェニタリウム性の可能性が高い.

 黄色膿の場合,膿のグラム染色を施せば淋菌の存否を即断できる.確定診断には膿の淋菌培養を施すか,初尿を検体とした淋菌およびクラミジアの核酸増幅法による検出を行う.

▼治療

淋菌性尿道炎

1)第一選択薬

 セフトリアキソン(CTRX,セファロスポリン系)1回1g・急速点滴静注・単回投与.

2)第二選択薬

 スペクチノマイシン(SPCM,アミノグリコシド系)1回2g・筋注・単回投与.SPCMは咽頭淋菌感染には無効であることに注意.

クラミジア性尿道炎

 アジスロマイシン(AZM,マクロライド系)1回1または2g単回投与が第

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