▼定義
免疫グロブリン血症を伴う全身性疾患でニューロパチーをきたすものを免疫性ニューロパチーと定義し,Guillain-Barré(ギラン-バレー)症候群などの免疫介在性ニューロパチーとは区別される.
▼病態
単クローン性免疫グロブリン血症を伴う疾患群であり,多発性骨髄腫(multiple myeloma)などの悪性疾患もあれば,意義の不明な単クローン性免疫グロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)のような良性疾患もある.MGUSのなかには多発性骨髄腫やリンパ腫などに移行し,悪性化するものもある.
▼疫学
臨床上明らかな多発ニューロパチーを呈するのは,骨破壊性の多発性骨髄腫全体の5%以下である.骨硬化を特徴とする多発性骨髄種は全体のわずか3%にすぎないが,その半数に多発ニューロパチーが合併する.
▼分類
①多発性骨髄腫〔基本的に軽鎖(light chain)はκ型〕に伴うニューロパチーは感覚運動性で,軸索変性型である.溶解性,びまん性の骨粗鬆症がみられる.
②免疫グロブリンIgG,IgA,IgMのどれかを伴うMGUSでは,慢性多発ニューロパチーを生じ,単クローン性免疫グロブリンを伴わない慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy:CIDP)患者と鑑別できないことが多い.そのなかで,IgMκ型の単クローン性免疫グロブリン血症は例外で,時に固定的な感覚性ニューロパチーがみられ,しばしば振戦・感覚性運動失調を伴う.大部分の患者は50歳以上の男性である.このIgMはSchwann(シュワン)細胞のRanvier(ランヴィエ)絞輪近傍ミエリン関連糖蛋白(myelin-associated glycoprotein:M
関連リンク
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