診療支援
治療

(1)黄色ブドウ球菌感染症
infection caused by Staphylococcus aureus
竹末 芳生
(兵庫医科大学主任教授・感染制御学)

▼定義

 グラム染色でブドウの房状の形態を示す,グラム陽性球菌である(図11-12).皮膚軟部組織感染や骨髄炎,心内膜炎の原因となる.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)は,臨床上最も重要な耐性菌の1つである.MRSAは医療スタッフの手指を介する院内伝播を起こす.β-ラクタム系抗菌薬が細胞壁(ペプチドグリカン)合成酵素であるペニシリン結合蛋白(penicillin binding protein:PBP)に結合し細胞壁合成阻害を引き起こすが,MRSAはβ-ラクタム系抗菌薬に対する親和性の低いPBP2'を有し耐性化する.

 PBP2'産生に関与する遺伝子はmecAとよばれ,この遺伝子は外来性の可動性遺伝因子(mobile genetic element)であるstaphylococcal cassett

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?