診療支援
治療

4 RSウイルス感染症
RS virus infection
池松 秀之
(リチェルカクリニカ・代表取締役)

学びのポイント

●3歳までにほぼ100%が初感染を受ける.

●3か月未満の乳幼児では無呼吸や重症の呼吸不全がみられることがある.

●再感染があり,高齢者での発症や肺炎合併がみられる.

▼定義

 respiratory syncytial virus(RSV)の感染により発症する.RSウイルスはパラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科ニューモウイルス属に分類されるRNAウイルスである.宿主細胞との接着に必要な表面の糖蛋白であるG蛋白,細胞内侵入に必要なF蛋白およびSH蛋白のエンベロープをもつ.G蛋白の抗原性の違いによる血清型により大きくA型B型の2つに分類され,さらに遺伝子亜型に分類される.

▼疫学

 RSV感染症は世界中に存在し,地理的あるいは気候的な偏りはない.温帯地域では冬季に,熱帯地域では雨期に,南米や南アフリカでは乾季に流行をみることが多い.日本では11~1月にかけての流行が報告されていたが,

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