診療支援
治療

28 ウイルス性出血熱(エボラ出血熱など)
viral hemorrhagic fever including Ebola virus disease
加藤 康幸
(国際医療福祉大学教授・感染症学)

疾患を疑うポイント

●発症前3週間以内にアフリカやラテンアメリカの熱帯地方に滞在歴があり,野生動物や患者の体液に接触歴がある発熱患者では本疾患を疑う.

学びのポイント

●感染症法の一類感染症に指定される公衆衛生上重大な疾患.

▼定義

 特定のウイルス群(アレナウイルス,フィロウイルス科など)を病原体とする重篤な発熱性疾患である(表11-24).患者の血液・体液に接触することで感染するリスクがある.

▼病態

 病原体の宿主は野生動物や家畜である.患者の血液・体液が粘膜や損傷のある皮膚を汚染して感染する.潜伏期は通常2~21日である.発熱,頭痛,筋肉痛が前駆症状で,嘔吐,下痢などの消化器症状を伴うことが多い.高度のウイルス血症と生体反応の異常が病態の中心と考えられる.播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)による出血症状や多臓器不全(心臓,腎

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