診療支援
治療

2 分類不能型免疫不全症
common variable immunodeficiency(CVID)
今井 耕輔
(東京医科歯科大学准教授・茨城県小児・周産期地域医療学)

疾患を疑うポイント

●反復性あるいは重症呼吸器系細菌感染症などに罹患.

●IgG,IgA,IgMの低値を示すが,T細胞・B細胞数は正常.

●自己免疫疾患(免疫性血小板減少性紫斑病,自己免疫性溶血性貧血,関節炎,自己免疫性内分泌疾患など),炎症性腸疾患,肝脾腫・リンパ節腫脹,悪性腫瘍などを合併.

学びのポイント

●記憶B細胞・形質細胞の分化異常による抗体産生不全症.

●ヘルパーT細胞の量的,質的異常による複合免疫不全症(CID),B細胞の初期分化異常によるB細胞欠損症と鑑別が必要である.

●記憶B細胞の維持には,多くの細胞表面分子,シグナル伝達分子,転写因子がかかわっているため,原因遺伝子は多岐にわたる.

▼定義

 成熟Bリンパ球,特に記憶B細胞,および抗体産生細胞である形質細胞への分化障害による低ガンマグロブリン血症のために易感染性を呈する原発性免疫不全症である.

▼病態

 低ガンマグロブリン血症の原因としては,複合免疫不全症(combined immunodeficiency:CID)・B細胞欠損症(無ガンマグロブリン血症)・免疫グロブリン(Ig)クラススイッチ再構成障害(高IgM症候群),CVIDが挙げられる(図13-26)

 4歳以下の低ガンマグロブリン血症の場合,T細胞の機能障害によるCIDの可能性が高いため,リンパ球表面抗原分析,抗CD3抗体による増殖能やT細胞受容体遺伝子再構成産物(T-cell receptor excision circle:TREC)定量などを用いて除外する必要がある.また,B細胞初期分化障害によるB細胞欠損症を除外する.さらに,既知の免疫不全症で低ガンマグロブリン血症を呈する場合があるので,注意する.

 原因は①リガンド,②サイトカイン,③細胞表面受容体,④細胞内シグナル伝達分子,⑤転写因子の遺伝子異常に分けられる(図13-27,表13-28)

 B細胞特

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