▼概説
従来は青酸カリ(シアン化カリウム)や青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)などの中毒事故や意図的な摂取などがあったが,近年は火災時にポリウレタンなど建築素材の燃焼により発生する青酸ガス(シアン化水素)が多い.
▼毒性のメカニズム
シアン化カリウム,シアン化ナトリウムは,服用すると胃酸と反応してシアン化水素となる.消化管よりすみやかに吸収され,摂取後1時間で血中濃度はピークに達する.シアン化水素は吸入により肺からも吸収される.
シアン化物を摂取するとシアンイオン(CN-)は細胞内ミトコンドリアにあるチトクローム・オキシダーゼの活性中心にあるヘム鉄(Fe3+)と結合して失活させる.このため好気性代謝が阻害され細胞内のATPは急速に枯渇する.また,細胞が動脈血から酸素を取り込むことができなくなる.さらに,嫌気性代謝が進行し,乳酸が蓄積し代謝性アシドーシスとなる.細胞が利用できるATPと酸素の減少
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/ジアゼパム《セルシン ホリゾン》
- 治療薬マニュアル2024/ジアゼパム《ダイアップ》
- 治療薬マニュアル2024/ミダゾラム《ドルミカム》
- 治療薬マニュアル2024/ミダゾラム《ミダフレッサ》
- 治療薬マニュアル2024/ヒドロキソコバラミン《シアノキット》
- 治療薬マニュアル2024/亜硝酸アミル《亜硝酸アミル》
- 今日の治療指針2024年版/アスファルト(アスファルト類)
- 臨床検査データブック 2023-2024/シアン〔CN〕
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[29]アニリン系除草剤
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[33]天然ガス成分・石油製品
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[46]水溶性の低い刺激性ガス
- 新臨床内科学 第10版/2 グリホサート界面活性剤含有除草剤
- 新臨床内科学 第10版/2 硫化水素
- 今日の診断指針 第8版/硫化水素中毒
- 今日の診断指針 第8版/パラコート中毒