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治療

骨組織球症(好酸球性肉芽腫)
Langerhans cell histiocytosis of bone (LCH)
白井 寿治
(京都府立医科大学 准教授)

【疾患概念】

 好酸球性肉芽腫とは,骨に生じる腫瘍性病変の1つであり,Langerhans細胞とよばれる組織球が異常をきたし腫瘍性増殖を示す疾患である.好酸球性肉芽腫と同様に組織球を原因として発症する病気に,Letterer-Siwe病,Hand-Schüller-Christian病がある.それらは以前,別々の病気だと考えられていたが,同一疾患であることが明らかとなり,histiocytosis Xとよばれるようになった.そして,その原因である組織球がLangerhans細胞であることが判明し,1987年にLangerhans細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis;LCH)という病名が確立した.現在では,発症部位によって単一臓器型と多臓器型に大きく分類され,単一臓器型では単発病変か多発病変かで分け,多臓器型はリスク臓器(肝臓,脾臓,造血器)の病変の有無で分ける.この単一臓器型が,以前は好酸球性肉芽腫とよばれていた.

【病態】

 病態は,Langerhans細胞の異常増殖と同時にリンパ球やマクロファージ,破骨細胞様多核巨細胞腫などが集まり,炎症を引き起こし,腫瘤形成と骨破壊を生じた状態である.しかし,この病態がなぜ生じるのか原因は明らかにされていない.2010年には,異常に増殖しているLangerhans細胞にBRAF遺伝子の変異が発見された.BRAF遺伝子の異常は,大腸癌や甲状腺癌,悪性黒色腫などでも生じる発がん性の遺伝子変異と言われている.

【疫学】

 小児に好発し,10歳未満が60%を占める.次いで10歳代で,通常は30歳までに発生する.3:2でやや男性に多い.単発,多発病変として全身骨に発生するが,頭蓋骨に最も多く,骨盤,大腿骨,肋骨,脊椎に好発する.鎖骨,上腕骨,下顎骨などにも多いとされる.長管骨では骨幹に発生しやすい.

【臨床症状】

 好酸球

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