【疾患概念】
骨髄腫は,形質細胞の腫瘍性増殖と単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の増加により特徴づけられる血液疾患である.
【頻度】
40~60歳に多く60歳が発症のピークである.男女比は2:1で,わが国の発症率は人口10万人あたり約5人である.
【病型分類】
国際骨髄腫作業部会による病型分類を示す.
①意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症:M蛋白や骨髄腫細胞が少なく臓器障害がない.定期的な検査を行う.
②くすぶり型多発性骨髄腫:骨髄腫細胞やM蛋白が増加するが,症状や臓器障害がない.定期的な検査を行う.
③多発性骨髄腫:M蛋白と骨髄腫細胞が増加し,臓器障害を生じる.薬物療法や造血幹細胞移植を行う.
④孤立性形質細胞腫:骨や骨以外の組織に骨髄腫が形成されるが,臓器障害はない.腫瘍に放射線療法を行う.
⑤形質細胞白血病:末梢血中で骨髄腫細胞が増殖しリンパ節や臓器腫大などが高頻度にみられ,臓器障害が進行する.薬物療法や造血幹細胞移植を行う.
【臨床症状】
貧血(息切れ・だるさ),易感染性(肺炎や尿路感染症),出血傾向が生じる.M蛋白増加により腎障害や過粘稠度症候群が生じる.骨病変により骨痛や病的骨折,脊髄圧迫による麻痺,高カルシウム血症(吐き気や食欲不振,意識障害,口渇)が生じる.
問診で聞くべきこと
高齢者の多発性溶骨性病変の鑑別疾患として臓器がんの骨転移が挙げられる.そのため,既往歴や骨関連以外の症状を十分に聴取する.原発不明がんの骨転移症例では肺癌が約30%と最も多く,次いで本疾患が15~20%と多い.
必要な検査とその所見
一般の血液検査で貧血があるにもかかわらず,血清総蛋白が高値の場合は本疾患を疑うべきである.確定診断に有用な検査は,血液と尿の蛋白電気泳動と免疫電気泳動である.血液検査におけるグロブリン分画の上昇と尿中のBence-Jones蛋白検出の特異度が高い.単純X
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