【概説】
関節リウマチの経過中には,さまざまな合併症をきたすことが多い.関節リウマチの合併症は,①関節リウマチ自体によるもの(関節外症状)(表6-2図),②他疾患の併発によるもの,③関節リウマチの治療に伴うものに大別されるが,診療の際には常にこれらに留意し,早期発見と適切な対応が求められる.本項では,合併症を臓器別に分類し,その治療について解説する.
合併症と治療
【1】肺病変
(1)関節リウマチによる肺障害
最も頻度が高いのは間質性肺炎で,リウマトイド因子(RF)高値例,男性,喫煙者に多い.画像的に,以下(2),(3)との区別は難しいことが多い.治療にはステロイドが用いられるが,難治の場合には免疫抑制薬が併用される.
(2)薬剤性間質性肺炎
原因薬剤としてメトトレキサート薬(約0.4%)やレフルノミド薬(1.3%)が有名だが,生物学的製剤や従来型の抗リウマチ薬(ブシラミン薬,サラゾスルファピリジン薬)でも生じうる.リスク因子として,既存の間質性肺病変や喫煙が挙げられる.治療は,被疑薬の中止,高用量ステロイド投与となる.
(3)日和見感染症
肺感染症としては一般細菌による肺炎が最も多いが,原病や治療薬による免疫能の低下を背景に,ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス肺炎などの日和見感染症を合併することがある.病原微生物の同定と感受性のある抗菌薬の投与を行う.
【2】腎病変
(1)関節リウマチによる腎障害
血尿のみのことが多く,頻度は少ない.特別な治療は要さない.
(2)薬剤性腎障害
最も留意すべきである.
①抗リウマチ薬:ブシラミン薬,ペニシラミン薬,金製剤では蛋白尿に留意して,定期的に尿検査を実施する.薬剤中止により数か月で軽快することが多い.タクロリムス薬では腎機能低下をきたすことがあるので,定期的に腎機能をチェックする.薬剤の減量,中止で改善することが多い.
②非ステロイド性抗炎
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