診療支援
治療

高齢発症の関節リウマチ
Management of elderly-onset rheumatoid arthritis
杉原 毅彦
(聖マリアンナ医科大学 准教授(リウマチ・膠原病・アレルギー内科))

【疾患概念】

 コホート研究での定義は,60歳以上発症あるいは65歳以上で発症する関節リウマチ(RA)とされている.急性発症,大関節合併例が多く,早期から高疾患活動性となり,予後不良因子を有する場合は関節破壊も進行しやすい.

【頻度】

 発症年齢の高齢化が,わが国の大規模なRAのコホート(NinJaコホート)で指摘されている.

【病型・分類】

 若年発症と同様の典型的な病型,両肩から急性発症で始まりリウマチ性多発筋痛症(PMR)に類似する病型,RS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)症候群のように末梢の浮腫と腱鞘滑膜炎が目立つ病型がある.


問診で聞くべきこと

 朝のこわばり,夜間や早朝の疼痛,中足趾節(MTP)関節の違和感,大関節の疼痛(年齢のためと自覚している場合がある),発熱,内科合併症,結核既往,接触歴,喫煙歴.


鑑別診断で想起すべき疾患

 抗CCP抗体陰性例でPMR,結晶性関節炎との鑑別に注意する.


診断のポイント

・まずは単純X線像で骨びらんの有無とRA分類基準(2010)を評価する.

・抗CCP抗体の陽性率は40~60%程度,発症年齢が高齢化するほど陰性例が増加する.

・RF陰性,抗CCP抗体陰性で,PMR,RS3PE症候群の病型で末梢関節症状があるとき,関節エコーで関節滑膜炎が明らかであれば,RA分類基準(2010)で5点でもRAと診断する.


専門病院へのコンサルテーション

 短期間で悪化すること,間質性肺炎など合併症が多いため,診断時から専門医へコンサルトするとよい.


治療方針

 日本リウマチ学会によるRA診療ガイドライン(2014),RA治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン(2016),欧州リウマチ学会2019 update推奨に従い,予後不良因子(抗CCP抗体陽性,発症早

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