緊急処置
【1】高度の起立性低血圧により脳循環不全を生じ,広範な脳領域が低灌流となり失神に至る場合:臥位にて回復体位をとり安静にすることで,比較的すみやかに意識が回復することが多い。背景にある病態が不明な意識障害を呈する患者に対しては,すみやかな神経機能と呼吸・循環評価および気道確保,静脈確保といった呼吸・循環状態の回復を目指した処置を行う必要がある。
【2】高度の排尿障害のため尿閉に至り,尿排泄を認めない場合:尿道カテーテル挿入などにより尿排泄を行う必要がある。
診断のチェックポイント
●定義:中枢または末梢の自律神経障害により,呼吸・循環・排泄といった生命維持のために重要な機能の不全状態による症候を総称して自律神経症状とよぶ。そのなかには,呼吸調節機能障害,血圧調節や臓器循環の障害,膀胱・直腸機能障害などがある。臨床的に遭遇する機会が多いのは,起立性低血圧に続発する失神,便秘,下痢,尿失禁(蓄