緊急処置
高窒素血症の原因として,急性腎不全では血液尿素窒素(BUN)が60mg/dL,慢性腎不全では80mg/dLを超え,意識障害,肺水腫,高カリウム(K)血症,代謝性アシドーシスなどの危険な症状・所見が認められる場合には,緊急処置として透析療法を開始する。
診断のチェックポイント
●定義:高窒素血症とは,血中の窒素含有代謝物が増加した状態である。大部分の窒素は蛋白質中のアミノ酸に由来し,その約80%は尿素〔CO(NH2)2〕として尿中に排泄される。正常の場合,蛋白を除くと血漿中の窒素の約50%が尿素であり,ほかにはクレアチニン(Cr),尿酸,アミノ酸,アンモニアなどに含まれる。血液尿素窒素(BUN)が20mg/dLを超えた場合に高窒素血症とされる。
【1】病歴
❶経過:急性,慢性。
❷栄養摂取状況:蛋白過剰摂取,飢餓,絶食,低カロリー摂取。
❸疾病罹患状況:腎疾患,心疾患,肝疾患,糖尿病,甲状腺機能亢進症,悪性腫瘍。
❹薬剤投与:ステロイド,利尿薬,テトラサイクリンなど。
【2】身体所見
❶体重の増減:脱水,食事摂取不良,体液量過剰(腎不全,心不全)。
❷尿量:腎機能低下による無尿,乏尿,夜間尿。
❸発熱:感染症,敗血症,甲状腺機能亢進症。
❹呼気アセトン臭:尿毒症。
❺呼気アンモニア臭:肝不全。
❻浮腫:腎不全,心不全,肝不全。
❼腹水:肝不全。
❽肺野ラ音:心不全・腎不全による肺うっ血,肺水腫。
❾外傷や手術創:組織破壊。
❿低血圧,四肢冷感など循環不全の所見。
⓫皮膚乾燥,皮膚緊張低下:脱水。
⓬腎腫大:多発性囊胞腎。
⓭脾腫大:肝硬変。
⓮腹痛,貧血,吐血,血便,黒色便:消化管出血。
⓯尿毒症症状:意識障害,失見当識,貧血,瘙痒,皮膚色素沈着,出血傾向。
【3】検査所見
❶腎機能検査:BUNとともに血清クレアチニン(sCr)を測定し,下式により推算GFR(eGFR)を計算する。
eGFR(mL/分/1.73m2)
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