診療支援
診断

肺野結節陰影,浸潤影の鑑別診断
Differential Diagnosis of Pulmonary Nodule and Consolidation
酒井 文和
(埼玉医科大学国際医療センター画像診断科・前教授)

[Ⅰ]結節陰影

 結節陰影とは,限局性のX線透過性の低い病変を表す用語で,その大きさが30mm以下のものを示すことが多いのに対して30mmを超える病変は腫瘤と表現されることが多い。これは孤立性陰影では,最大径30mm以上の病変では悪性腫瘍の頻度が高いためである。陰影の境界の正常や内部の透過性などはさまざまである。背景病理は多彩であるが,画像診断による鑑別の実際的な主眼は肺癌と良性病変(結節)の鑑別におかれる。

病理背景

 悪性腫瘍(原発性肺癌など),良性腫瘍(過誤腫など),感染性疾患(抗酸菌感染症,真菌感染,器質化肺炎など),非感染性炎症性疾患(非感染性肉芽腫,炎症性偽腫瘍など),肺内リンパ節,限局性線維化巣などきわめて多彩である。

画像診断による鑑別ポイント

 主に胸部単純X線写真とCTが診断のモダリティとして利用される。現状では,単純X線撮影は,病変の検出や経過観察に用いられることが多く,CTが

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