診療支援
診断

胸水貯留
Pleural Effusion
金子 猛
(横浜市立大学大学院主任教授・呼吸器病学)

緊急処置

【1】呼吸不全を呈する大量胸水の場合は,原則入院として胸腔穿刺を行う。その際,再膨張性肺水腫を予防するため,排液量を1,000mL以下にとどめる。

【2】胸腔ドレーンを挿入した場合は,いったんドレーンをクランプしておき,翌日以降に再度排液を行う。

診断のチェックポイント

定義

❶胸水貯留とは,「肺の周囲を被覆する臓側胸膜と胸壁・横隔膜を被覆する壁側胸膜によって囲まれた胸膜腔に,生理的な量を超えて胸水が貯留すること」である。

❷正常でも血漿と同様の組成である胸水が少量(10mL程度)胸膜腔内に薄く広がって存在し,肺の拡張,収縮運動を容易にしている。生理的な胸水は壁側および臓側胸膜に存在する微小血管から胸膜腔へ血漿成分が漏出したもので,一部は同血管から再吸収を受けるが,大部分は壁側胸膜にある小孔を通りリンパ管から排除されている。したがって,流出する量を超えて胸水が過剰に産生される病態において胸

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