診断のポイント
【1】若年者および成人で多いが,幼小児もみられる。
【2】女性に多い(成人では男:女=1:3~4)。
【3】先天性および後天性凝固異常を有することがある。
【4】頭痛,けいれんなど非定型的症状で発症。
緊急対応の判断基準
【1】激しい頭痛後,けいれんを認める。
【2】意識障害。
【3】頭部CT・MRIで脳出血を認める。
【4】神経症状の進行を認める。
症候の診かた
【1】頭痛:最も頻度が高く,90%の症例で認められる。緩徐に進行するものと,くも膜下出血様の激しい頭痛がある。
【2】神経局所症状:約50%にみられるが,片麻痺や失語は少ない。
【3】けいれん:40%前後でみられる。けいれん重積になることがある。
【4】意識障害:徐々に意識障害が出現する場合と突然意識障害が出現する場合がある。
【5】精神症状:深部静脈の閉塞の場合は精神症状が出現し,認知症や精神疾患と間違いやすく,診断が遅れることがある。
検査所見とその読みかた
【1】スクリーニング検査
❶放射線学的検査
■頭部単純CT
・閉塞した静脈洞を描出できることは少ないが,脳表静脈内の血栓が点状の高吸収域としてみられることがある。
・出血や静脈性梗塞がみられる。
■頭部単純MRI
・静脈洞の血栓:2~3日まではT1強調画像では等信号,T2強調画像では低信号,その後,T1,T2でも血栓が高信号として描出される。
・脳浮腫や出血性梗塞:T2強調画像やFLAIR画像で高信号あるいは不均一な病変として描出される。
❷血液検査:炎症が原因である症例では白血球上昇,CRP上昇がみられる。Dダイマーは上昇することがあるが,正常であっても脳静脈洞血栓症を否定はできない。
【2】絞り込む検査
❶放射線学的検査
■造影CT
・Empty triangle sign(empty delta sign):上矢状洞血栓の症例では上矢状洞後半部を中心に造影されない部分を認める。
■造影MRI