診断のポイント
【1】一側の眼窩後部の持続性疼痛や動眼・滑車・外転神経障害による眼球運動障害,三叉神経第1枝領域の感覚障害。
【2】造影MRIで増強効果を伴う肉芽腫様病変を伴った海綿静脈洞の拡大。
【3】副腎皮質ステロイドでのすみやかな症状の改善。
【4】症状の自然緩解や再発がみられることがある。
症候の診かた
【1】痛み:眼窩後部に持続性の痛みを生じる。症状は通常一側性である。
【2】複視:痛みと同時・または数日遅れて複視が出現する。
【3】神経障害:動眼・滑車・外転神経,三叉神経第1枝の障害を伴う。まれに視神経,顔面神経,三叉神経第2・3枝の障害を伴う。
検査所見とその読みかた
【1】造影MRI:増強効果のある肉芽腫様病変を伴った海綿静脈洞の拡大や,海綿静脈洞壁の異常な突出を認めれば診断的価値がある。
【2】血管造影やMR アンギオグラフィ(MRA):内頸動脈の海綿静脈洞部に限局性の不整狭窄を認めることがある。
【3】上記のような異常所見はリンパ腫,サルコイドーシス,髄膜腫など他の病態でもみられることがあることに注意する。
【4】眼窩静脈造影:上眼静脈閉塞や海綿静脈洞の造影不良を認めることがある。
【5】採血や髄液検査:他疾患の除外のために必要である。通常,本疾患ではこれらは正常であるが,血沈亢進や白血球増加,髄液中の蛋白や細胞数の軽度増加を認める症例もある。
確定診断の決め手
【1】臨床症状・画像所見およびステロイドに対する反応性が重要である。
【2】十分量のステロイドで治療を行えば,疼痛は72時間以内に軽快し診断の一助となる。脳神経症状は週単位で改善する。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】脳動脈瘤:MRI,MRA,CT血管撮影,脳血管造影が有用。
【2】腫瘍〔髄膜腫・リンパ腫(→,→,→)・転移性腫瘍など〕:CT,MRIや脳血管造影で診断する。
【3】硬膜炎:感染症(一般細菌・梅毒・結核など),膠原
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