診療支援
診断

ニューモシスチス肺炎
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Pneumocystis jirovecii Pneumonia (PCP)
藤田 次郎
(琉球大学大学院教授・感染症・呼吸器・消化器内科学)

診断のポイント

【1】基礎疾患の存在〔特にhuman immunodeficiency virus(HIV)感染症〕。

【2】乾性咳嗽。

【3】進行性の呼吸困難。

【4】発熱。

【5】特徴的な胸部画像所見。

緊急対応の判断基準

【1】呼吸不全の程度が重要であり,必要に応じて人工呼吸管理を実施する。

【2】気胸はPCPの合併症として重要であり,経過中の予期せぬ呼吸状態悪化の際には胸部単純X線写真で気胸併発の有無を確認する。

症候の診かた

【1】発熱,呼吸困難,および乾性咳嗽などの症状は非特異的。

【2】胸部画像所見に比較して聴診所見が乏しいことが重要。

検査所見とその読みかた

【1】胸部単純X線写真:すりガラス影。

【2】胸部CT:経気道分布のすりガラス影(図1)。

【3】KL-6高値(500U/mL以上)。

【4】β-D-グルカン高値(20pg/mL以上)。

確定診断の決め手

【1】Pneumocystis jiroveciiを気道検体(気管支肺胞洗浄液)から検出する。

【2】P. jirovecii遺伝子を気道検体(気管支肺胞洗浄液)からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法にて検出する。

【3】経気管支肺生検にてP. jiroveciiを病理学的に証明する。

【4】補助診断として,KL-6高値,およびβ-D-グルカン高値。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】原疾患に合併する間質性肺炎〔膠原病肺()など〕,または薬剤性間質性肺炎

❶胸部CTでの特徴的な画像所見。

❷β-D-グルカン高値。

【2】他の感染症〔サイトメガロウイルス感染症()など〕

❶β-D-グルカン高値。

❷サイトメガロウイルス抗原の有無。

確定診断がつかないとき試みること

【1】気管支鏡を用いた気管支肺胞洗浄,または経気管支肺生検での病理診断を試みる。

【2】染色にはGrocott染色やGiemsa染色,Diff-Quik染色が用いられる。

【3】PCR法を用いた

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