本項では主にANCA陽性間質性肺炎について述べる。
診断のポイント
抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性間質性肺炎の臨床的特徴は以下の通り。
【1】高齢男性に多い。
【2】25~54%に5か月~数年,間質性肺炎が先行し,血管炎に進展する肺病変先行型が存在する。
【3】胸部HRCTでは73~100%に蜂巣肺を認め,パターン分類では通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)パターン,非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)パターン,気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema:CPFE)パターンなどが認められる。
【4】呼吸機能検査:%FVCと%DLcoの低下が認められる。
【5】予後:5年生存率が50~60%であり,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)と同等に不良である。
症候の診かた
【1】咳嗽・呼吸困難
❶間質性肺炎は慢性的に経過し,進行例においては,乾性咳嗽・労作時呼吸困難を呈するが初期は無症状のことも多い。
❷無症状の症例は健診や呼吸器以外の他症状で発症した血管炎のスクリーニング検査で発見されることが多い。
【2】身体所見
❶ばち指を呈することもあり,胸部聴診所見ではfine cracklesを聴取する。
❷顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)を発症している症例においては,血管炎に伴う発熱,腎不全に応じた浮腫,びまん性肺胞出血(diffuse alveolar hemorrhage:DAH)に伴う血痰などをきたすことがある。
検査所見とその読みかた
【1】画像所見
❶胸部単純X線写真:両側下肺野優位に網状陰影や輪状陰影を認めることが多い。
❷胸部CT:胸膜直
関連リンク
- 今日の治療指針2023年版/特発性間質性肺炎(特発性肺線維症を除く)
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/11 サルコイドーシス
- 臨床検査データブック 2023-2024/シアル化糖鎖抗原KL-6〔KL-6〕 [保] 111点
- 臨床検査データブック 2023-2024/サーファクタントプロテインA〔SP-A〕 [保] 130点
- 臨床検査データブック 2023-2024/多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症)
- 新臨床内科学 第10版/1 特発性肺線維症
- 新臨床内科学 第10版/2 非特異性間質性肺炎
- 新臨床内科学 第10版/2 顕微鏡的多発血管炎
- 新臨床内科学 第10版/【7】膠原病の肺胸膜病変
- 今日の診断指針 第8版/非特異性間質性肺炎
- 今日の診断指針 第8版/膠原病肺
- 今日の診断指針 第8版/肺胞蛋白症