診療支援
診断

ネフローゼ症候群
Nephrotic Syndrome
淺沼 克彦
(千葉大学大学院教授・腎臓内科学講座)

診断のポイント

【1】高度蛋白尿。

【2】低アルブミン血症。

【3】低アルブミン血症に起因する浮腫。

【4】脂質異常症,血栓傾向。

【5】ネフローゼ症候群は,腎糸球体係蹄障害による蛋白透過性亢進に基づく大量の尿蛋白漏出とこれに伴う低蛋白(低アルブミン)血症を特徴とする症候群である。表1に診断基準を示す。

緊急対応の判断基準

【1】胸水が貯留し呼吸状態が悪化しているなどの体液過剰が原因で全身状態が悪化している状況や,感染症の合併など,自施設で対処が困難な場合は高次医療機関へ搬送する。

【2】原疾患が不明で腎病理診断が必要な場合は,安易に免疫抑制の治療を開始せずに,確定診断のために腎生検が可能な施設へ紹介する。

症候の診かた

【1】体液過剰(浮腫,胸腹水)

❶主症状である浮腫は,ナトリウム貯留による体液(細胞外液)貯留と低アルブミン血症による血漿膠質浸透圧の低下によると考えられている。

❷浮腫は身体の低圧部である眼

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