診断のポイント
【1】発症年齢は20~30歳台が多いが,最近では高齢発症もみられる。男女比は1:9程度である。
【2】病歴と臨床所見を考慮し,検査結果や画像所見を併せて総合的に診断する。分類基準を用いた診断になるため,感染症や悪性腫瘍の除外を慎重に進める必要がある。
【3】発熱や関節炎などの非特異的な症状と,蝶形紅斑(図1図)などの特徴的な皮膚所見,腎病変,中枢神経病変,および漿膜炎などの臓器障害に伴う症状を呈する(表1図)。
【4】免疫学的検査では抗核抗体をほぼ全例に認め,抗2本鎖DNA抗体や抗Sm抗体などの特異性の高い自己抗体に加え,多様な自己抗体が検出される。自己抗体が形成する免疫複合体の影響として補体の低値がみられる。
症候の診かた
【1】発熱,倦怠感,関節炎などの非特異的な全身症状が数週間持続した後に臓器障害を生じることが多い。
【2】症候の頻度:時期により異なる。初発時には典型的な症状がそろっていないことも多い。
❶初発時に最も頻度が高いのは関節炎で約50%,発熱と頰部紅斑が約10%,腎所見は約3%程度である。
❷SLEの全経過では筋関節痛80%,皮疹71%,発熱48%,尿蛋白42%という報告があり,初発以降臓器障害が蓄積していく。別のヨーロッパのグループの報告を表1図に示す。
【3】特徴的な皮膚所見:蝶形紅斑,円盤状紅斑,非瘢痕性脱毛などを呈し,紫外線曝露を契機に増悪する。円盤状皮疹は顔面に好発し,外耳道や頭皮に出ることがままある。
【4】漿膜炎:胸膜炎と心膜炎がみられる。
❶胸膜炎:胸痛,胸膜摩擦音,胸水貯留を生じ,SLEで頻度が高く初発時にもみられる。
❷心膜炎:胸膜炎を伴うことが多く,初発時にもみられ,軽度の心囊水貯留はSLEの経過のなかで比較的高頻度にみられる。心タンポナーデを起こすことはまれだが,急性で重篤な場合には心タンポナーデ,心不全を生じることがある。
【5】神経精神障害
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