診療支援
診断

リウマチ性多発筋痛症
Polymyalgia Rheumatica (PMR)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

診断のポイント

【1】患者年齢が60歳以上であること。リウマチ性多発筋痛症(PMR)は,通常60歳以上の高齢者に発症する。まれに50歳台で発症する患者もいるが50歳台前半はきわめてまれであり,その場合には十分な鑑別診断が必要。

【2】初診時にすでに「全身が痛い」と訴える患者が多い。特に両側の頸・肩部,大腿・腰背部などの近位部の痛みやこわばり感が多いが,末梢の関節痛や関節炎も少なからず認める。これらの症状は一般的に数日程度の短期間で完成する。

【3】炎症反応高値が認められる。特異的な検査所見はないが,炎症反応陰性のPMRは存在しない。

【4】ほかに原因となる疾患が認められない。高齢発症関節リウマチ,感染症,悪性腫瘍など症状の類似する疾患が鑑別に挙げられる。

症候の診かた

【1】高齢者において,強い全身の疼痛と全身倦怠感などのため,明らかな臓器障害はないものの日常生活に著明な影響が出ているとの訴えがみられる場合に当疾患を念頭におく。

【2】末梢関節炎に関しては,9~38.5%のPMRにみられるとの報告もあり,手指などの関節炎の存在をもってPMRを否定はできないが,PMRと診断するためには十分な鑑別が必要となる。

検査所見とその読みかた

 炎症反応陽性で自己抗体などは陰性,臓器障害を示す検査所見は認めない。

 播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を示すような検査所見もない。

確定診断の決め手

【1】可能性の高い他の疾患が除外されることが診断確定においては重要である。そのうえで,欧州リウマチ学会/米国リウマチ学会(EULAR/ACR)による暫定的PMR診断システム(表1)によってスコア化して診断を確定する。

【2】このシステムを用いるための条件としては,50歳以上,両側肩痛,炎症反応(CRP/赤沈)上昇が認められることである。

誤診し

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?