診療支援
診断

住血吸虫症・消化器吸虫症
††
Schistosomiasis and Other Intestinal Flukes
平山 謙二
(長崎大学熱帯医学研究所教授・免疫遺伝学分野)

[Ⅰ]住血吸虫症

診断のポイント

【1】ヒトの住血吸虫症には,日本住血吸虫症,メコン住血吸虫症,マンソン住血吸虫症,インターカラーツム住血吸虫症,ビルハルツ住血吸虫症がある(表1)。

【2】流行地域への旅行歴(表1)が最も重要である。湖水や池,河川の水との接触の有無を確認する。季節や地域,接触の程度によっても危険度は大きく変わる。

【3】感染の時期を推定し,急性あるいは慢性期の特徴的な症状や検査所見を考慮する。

【4】血液検査では好酸球数の著明な上昇がみられる。

【5】排泄物中の虫卵検査あるいは血清検査による特異抗体あるいは血中尿中循環抗原の検出。

症候の診かた

【1】急性期の症状:住血吸虫の種や感染強度,宿主因子などで変わる。

❶経皮感染後2~3日:侵入部位にかゆみを伴う丘疹状の紅斑が出現する。

❷経皮感染から約1週間:肺へ到達し,咳などの症状が現れる。

❸経皮感染後4~8週:成熟した住血吸虫は門脈や膀胱

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