[Ⅰ]グルホシネート
パラコートに比べて毒性が低いことなどから広く用いられている除草剤の1つで,近年これによる中毒症例が増加している。
診断のポイント
【1】グルホシネート製剤はグルホシネートと界面活性剤を主成分としているため,この両方による中毒症状を考慮しなければならない。
【2】グルホシネート:グルタミン合成酵素の競合的阻害の結果,興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の過剰を引き起こすとともに抑制性神経伝達物質であるGABAを減少させることにより中枢神経毒性を発揮する。
【3】界面活性剤:通常約30%程度の陰イオン界面活性剤が用いられ,これは消化管への粘膜刺激作用をもつとともに,心筋抑制作用や血管透過性を亢進させて全身浮腫,肺水腫をきたし,低容量性ショックの原因となる。
緊急対応の判断基準
バスタ®液剤で100mL以上の服用が重症の目安とされる。
症候の診かた
【1】急性期の症状:悪心,嘔吐,下痢と