診療支援
診断

壊疽性膿皮症
††
Pyoderma Gangrenosum
金蔵 拓郎
(鹿児島大学大学院教授・皮膚科学)

診断のポイント

【1】40~70歳台。60歳前後にピーク。

【2】女性が約60~70%。

【3】パテルギー(pathergy):外傷などの刺激後に発症することが多い。

【4】無菌性。

【5】炎症性腸疾患,大動脈炎症候群,血液疾患などの合併。

症候の診かた

【1】皮膚病変は単発ないし多発する。

【2】痤瘡様発疹,膿疱,出血を伴う小丘疹で初発し,皮疹は融合し遠心性に急速に拡大する。

【3】辺縁は堤防状に隆起し,穿掘性・縁下蚕蝕性の潰瘍を呈する(図1)。

【4】潰瘍底は壊死物質で覆われる。

【5】易出血性で圧痛,疼痛を伴う。

検査所見とその読みかた

【1】血液生化学検査:末梢血白血球の上昇,好中球増多,CRP高値がみられるが本疾患に特異的な検査所見はない。

【2】培養検査:膿疱や新生した潰瘍から細菌・真菌・抗酸菌培養を行い,有意な菌が検出されないことを確認する。

【3】病理検査:真皮に好中球の浸潤があり,通常血管炎はみられない。非特異的な所見であるが診断の手がかりとなる。

確定診断の決め手

【1】経過と特徴的な臨床所見。

【2】合併症の存在。

【3】針反応,Köbner現象などパテルギーを示す皮膚反応。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】Behçet病()

❶結節性紅斑,再発性口腔内アフタ,眼症状(虹彩毛様体炎,網膜ぶどう膜炎)。

❷ヒト白血球型抗原(HLA)-B51との強い相関。

【2】深在性真菌症(),抗酸菌感染症:培養検査,病理組織標本の特殊染色などの細菌学的検査で原因菌が同定される。

【3】下腿潰瘍を呈する疾患

❶血管炎,血行障害,膠原病,癌などの検索。

❷病理組織学的な鑑別。

合併症・続発症の診断

【1】炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,Crohn病):消化管内視鏡検査により検索する。

【2】大動脈炎症候群:胸部単純X線写真,超音波検査,胸部CT,MRA,DSA(digital subtraction angiograph

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