診断のポイント
【1】難聴,耳鳴,耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する。
【2】めまい発作を伴わず聴覚症状のみ変動する場合,Ménière(メニエール)病非定型例(蝸牛型;cochlear type of atypical Ménière's disease)とよぶ。
【3】聴覚症状を伴わずめまい発作のみを反復する場合,Ménière病非定型例(前庭型;vestibular type of atypical Ménière's disease)とよぶ。
【4】診断基準では,Ménière病確定診断例では検査項目として眼振や体平衡障害の異常,聴力検査における聴力変動の確認,造影MRIによる内リンパ水腫の確認が含まれている。
症候の診かた
【1】めまい発作の態様:回転性めまいの場合が多いが,浮動性めまいの場合もある。
【2】めまい発作の時間:10分程度から数時間までのことが多く,これより短い場合も長い場合もMénière病の発作とは考えにくい。
【3】Ménière病の主症状:「聴覚症状を伴うめまい発作の反復」である。
❶「伴う」とは,一般的には同時または直前/直後を意味すると考えられるが,めまい発作と聴覚症状の時間的ズレに関する規定はない。
❷臨床的にめまいと聴覚症状が関連して起こったと考えられる場合,「伴う」としてよい。
検査所見とその読みかた
【1】病初期:可逆性の低音部の感音難聴を認める。病期が進行すると難聴は不可逆性となり,水平型の感音難聴となる。
【2】めまい発作期:自発眼振を認めその向きは患側向きの場合が多い(刺激性眼振)。
【3】発作間欠期:誘発される眼振は健側向きのことが多い(麻痺性眼振)。
【4】病期が進行すると温度刺激検査で患側の半規管機能低下を認める。
【5】内リンパ水腫推定検査
❶蝸牛系:グリセロール検査および蝸電図検査。
❷半規管系:フロセミド検査。
❸耳石器系:グリセロール(
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